今でも私を奮い立たせる言葉
言葉のお題は「思い出の先生」らしいです。
今まで特に参加する意欲はなかったのですが、お題を見た瞬間に思い浮かぶ顔があったので書いてみることにしました。
思い出の先生
私は今も昔も先生が好きな生徒だったので、思い出の先生はたくさんいます。
- 筆箱にハム太郎のキーホルダーをつけていて、私にペン回しを教えてくれた小4のときの担任の先生。
- 科学部なのに足が速く、陸上部の長距離練習中にいつも私を追い越していった中学理科の先生。
- 「これは高級な問題だ」という、変わった表現をしていた高校物理の先生。
思えば面白い先生が多かった気がします。
その中でも特に、ことある事に思い出し、私を奮い立たせてくる先生がいます。
例えるならば、ドラマ「女王の教室」の 阿久津先生
その先生は、高校の英語の先生でした。
担任ではなかったのですが、三年間その先生の英語の授業を受けていました。
入学してすぐに勉強合宿があったのですが、そのときの英語の授業で初めて先生の話を聞きました。
その先生はただ話をしているだけなのに、まるで魔法をかけられたみたいに動けなくなるのです。
(私だけだったかもしれない)
教室の空気は張り詰め、か細い先生の声だけが静かに空気を震わせているのです。
ドラマ「女王の教室」での阿久津先生(天海祐希さん)をイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。
第一印象で、「この先生は違う」と刻みつけられました。
びっくりするほどの二面性
その先生は授業とその他の切り分けがとてもはっきりとしている方でした。
授業中は阿久津先生ですが、チャイムがなって休み時間になると、とたんに可愛らしい雰囲気に戻るのです。
私が質問に行っても突き放すことなく、わからないと言ってもいつも丁寧に教えてくれました。
そんな切り替えの上手い先生を見て、わたしもこんなかっこいい大人になりたいと密かに尊敬していました。
「100点を取る程度の努力では80点しか取れない」
尊敬はしているものの授業中は阿久津先生なので、怖いことは確かです。
ちゃんと予習していなかったり、当てられて考える前から「わかりません」と言った日には冷たい視線が飛んできます。
誰かひとりでもそのような態度を取ると、授業が終わるまで凍りついた雰囲気が続きます。
大学受験が迫ってきたある日のことです。
授業中、私の分からない問題がありました。
初めに一人が当てられて答えられず、
二人目の人も「わかりません」と言いました。
その後三人、四人、五人、・・・と次々に当てられていき、どの人も答えられませんでした。
教室の半分くらいの人が当てられたところで、ついに私が当てられました。
少し考えたので、間を置いたような、置いていないような、それぐらいの間隔で「わかりません」と言ってしまいました。
すると、先生はついに痺れを切らしたのか、私に次のようなことを言い放ちました。
「こんな問題も分からないなんて、それじゃあ○○大学に受からないわよ。
100点を取りたいんだったら、120点を取るつもりで勉強しなければ無理。
それだからあなたはいつまでも8割人間なのよ」
脚が竦みました。
「8割人間」と言われたことが悔しく初めは落ち込みましたが、その後の勉強で見返してやる!という気持ちになったように思います。
大学はいろいろあって、第三希望のところに進みましたが、私に喝を入れてくれた先生にはとてつもなく感謝していました。
進学先が決定したことを先生に伝えると、先生は今まで見たこともないほど優しい顔をしていました。
握手を交わし、感謝の気持ちを伝えると、その目には涙が浮かんでいるような気もしました。
5年後- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
今でも何かを作るとき、先生に「8割人間」と言われたことを思い出します。
テストは一人でやるものなので、自分が120%の努力をしなければいけません。
ですが、研究や、仕事、その他の物事は誰かと一緒に作り上げていくことが多いです。
自分だけでは「80%」でも、周りと協力して120%になれば、それでいいんじゃないかと最近考えるようになりました。
(得意不得意もあるし)
それでも、努力した分の100%が結果に現れるわけではないということを教えてくれた先生に、あの時出会えてよかったと強く思っています。
先生、元気かな…?